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異界見聞録番外編

「鍋のナイスガイ」

 

/*藤崎さんとあの場にいた方々お疲れです&ありがとうございましたSS*/



/*/

 

朝。

何といわずみ子さんが摂政という予想外の事態から発展し、お城の中に入れて貰える事に。

現在、朝倉は一人で探検をしていた。

 

 

と。

それは廊下だった。

倒れている。

明らかに倒れている。男の人が。

「………………」

嫌な予感がする。

主に、ギャグ系で痛い目を見る感じの嫌な予感だ。

「………放っとくか」

「いやいやいや」

倒れていた人が起き上がった。

「人が倒れてるのにそれは無いでしょう」

何この怪しさっぷり。

本気で逃げようかと考える。

「えーと…あなたは…」

男が、懐から紙の束を取り出して、ぺらぺらめくり、

「あ、やっぱりあったあった。朝倉景光さんですね」

まずい、嫌な予感が増大している。すぐ逃げよう。

「逃げちゃだめですよ。吏族2級が切実に人手を欲しがってますから」

………これは、逃げれなかった。

何故なら、朝倉は吏族5級で、2級は遥か上なのだ。まさか無視して逃げたりできるわけがない。

「……そういうあなたは誰ですか?」

朝倉、観念して聞くことにした。

「申し遅れましたね。島鍋 玖日、あなたと同じ吏族5級ですよ」

 

 

鍋のパパこと鍋村 藤崎は頭を抱えていた。

いや、比喩とかではなくリアルに。

「痛った…そろそろ部屋の片付けしなくちゃな…」

散乱する、書類、本、その他諸々。

この所妙に忙しく、片付けている時間がない。そのせいで、ついさっきも本が落下してきて頭を打ったばかりである。

「大丈夫かい?」

書類に埋もれた部屋のどこかから、声がする。

「もう悪童屋さんがどこにいるかも分からないくらいには大丈夫だね」

「あ、ここ、ここ」

ばさっと部屋の右端の書類が崩れ落ちて、そこから手が出てきて軽く振っているのが見えた。

「俺、今世界忍者国の国民なのに、何で鍋に遊びに来たらこんな事になってるんだろ」

「……運が悪かったと思って下さい」

「そうするよ…」

と、そんな時。

「藤崎さん、助っ人連れてきましたよ」

部屋の入り口から声が。

見れば、1時間ほど戻ってきていなかった玖日が、男を連れて立っていた。

「玖日さん、この忙しい時にどこ行ってたんですか」

「書類を取りに自室に行った帰り、寝不足で、気付いたらそこの廊下に倒れてました」

「………ごめん、これ終わったら休暇出すから」

「約束ですよ」

「ほんとほんと。で、そちらのお客さんはどちらかな?」

勿論、このお客は朝倉景光あっとまーくなえ~藩国である。

「朝倉景光、吏族5級です。なにやら仕事が大変らしいと聞きましたが」

すると、藤崎は苦笑した。もう完全に疲れきった笑顔で。

「現在、資格持ちの吏族の名簿を作っていてね。もうチェック段階なんだが、資料が多すぎて手に負えないんだよ」

それは、この部屋の光景から見れば、どの程度大変なのかは分かる。割とめんどくさそうだ。

「…………わかりました。手伝いましょう」

「おお。ありがとうありがとう。これで死ぬ人が減るよ。……まぁ、地獄を見る人は増えたけれど」

朝倉、やっぱ逃げれば良かったと後悔した。

 

しかし、さすが2級というべきか、鍋のパパというべきか。

鍋の国のナイスガイ、藤崎。

やはり、そこらの指揮官とはレベルの違いというものを感じる。

対応は丁寧・的確であり、処理が早い。

「これは…すごいな…さすがだ…」

朝倉は主に法官として動いている。

法官団の長(新・旧共に)も中々の指揮官だが、この藤崎という男、特に新法官長に似たオーラが漂っている。

「ね、悪童屋さん」

「はい?」

「この藤崎って人、どういう人なんですか?」

悪童屋はしばらく考え込んで、

「そうだな…んーと、昔から、裏方は上手かった。こういう吏族とかの作業が好きなのかもしれないな。ま、ほんとの所は本人から聞いたわけではないから、分からないが」

「ふーむ……」

底が知れない男、藤崎。

「そこー、何喋ってるんですかー。いや、息抜きのお喋りは必要かな?」

一見すると、そんなすごい男には見えない…が、やはり、指揮下に入ってみると分かる、このやりやすい感じ。

「大物だなぁ」

この鍋に来て、次の吏族や法官出仕で、こんな上司に毎回あたるといいな、と少しわくわくさせられた瞬間であった。

 

 

 

「じゃ、今日のとこはここまで」

藤崎という男、作業の切り際もちゃんと弁えている。

「………死ぬ」

まぁ、昨日から寝不足な玖日には、大して効果の無いポイントかもしれないが。

「じゃ、飲みにでも行きますか」

と、悪童屋。

「いいですねー」

「私はほんと眠いんです…」

「あれ、玖日さん行かないのかい?」

「……いえ、行きますけどね、行きますけど…」

「じゃぁ、今日の鍋は……」

 

作業が終わって、男達の夜は楽しく更けていくのであった。

 

/*/

 

     今回も贋造率200%くらいで皆さんのキャラ作ってます。もう謝るしか。

     とりあえず、先日はご苦労様でした。また吏族チェックなどで会いましたらよろしくです。

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