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第三話「へんてこな彼女とへんてこなケーキ」

 

へんてこな人物。

へんてこな本。

へんてこなお菓子。

へんてこな物語。

それは、へんてこであるが故の、騒動。

 

これは、奇怪で滑稽無稽な、一つの物語。



/*/

 

朝倉は、次のあては山吹だ、と意気込んで広場を飛び出したのは良かったものの、そもそもどこにいるのか知らない事に、部屋を訪ねて留守と分かった時に気付いた。

「むぐぐぐぐ」

藩城は、そこそこ広い。

いや、山吹さんの事だ、神出鬼没な彼女なら、藩国のどこか、悪ければ他国かもしれない、などと考えると、朝倉は完全に手詰まりだった。

そうして絶望していた頃。

「朝倉さん、今日も良い絶望加減ですわね♪」

空気を読んでおいてそれをスルーするという高度な技術を駆使して話しかけてきたのは、

「げ、榊さん」

藩国の要注意人物こと、榊遊である。

この人物、割と好奇心旺盛で、働き者なので、こういう場合、頼めば大体引き受けてくれる。

……ただ、この人がやる気を出すということは、たびたび事件に巻き込まれるという特典つきという事に等しいのだが。

「どうしました、何かお困りごとでも?」

「え、ええ、まぁ」

「お手伝いしましょうか?」

きた。

朝倉は、何とか誤魔化そうとする。

「いいいいい、いえ、大丈夫ですから!」

「本当ですの…?」

「はい。本当です。マジです。誓ってマジです」

「そうですか。なら、その絶望顔は生まれつきという事にして、私はお菓子作りに励む事にしますわ♪」

変な生まれつきもあったものである。

「生まれつき絶望顔…。そ、それはそれとして、山吹さんがどこにいるとか知りません…よね…?」

「あ、山吹さんなら食堂いましたわよ?」

「おお、ありがとう御座います!ではー」

「はい、では~」

脱兎の如く逃げ出す朝倉。普段ならまぁ可愛いし良いのだが、あの大切な本がかかっている今回に、想定外事態を引き起こされても困る。

「それにしても、榊さんもお菓子作りに励むとか言ってたなぁ…。お菓子作りが藩国ブームなんだろうか…」

 

 

―食堂―

食堂には、誰もいなかった。真っ暗である。

…否、食堂の奥、厨房からかすかに光が漏れている。

「厨房かな…?」

そして、厨房へ行き、のれんをくぐって足を踏み入れた、その瞬間。

「…………はい?」

目を疑った。

ありえないありえないありえない。

厨房に入ろうとした瞬間、そこには真っ白な壁があった。

いや、良く見ると、それは超弩級ケーキなのである。

厨房のスペースを完全に占領しており、高さは3mはあるだろうか。

というか、それが入るこの厨房がすごいよ、と、朝倉は呆れ半ばに突っ込んだ。

「あれー、そこ、誰かいる?」

最早、目の前に広がる景色はケーキのみであって、人の姿など確認できないのだが、声でそれが山吹だと分かった朝倉。

「えーと、朝倉ですー!」

「おお、若人じゃないか。どうしたの、こんな所に」

「山吹さんを探しに来たのです」

「私?」

「すいません、本を知らないですか? 知ってそうな当てが、山吹さんくらいしかなくて」

「突然本って言われてもねぇ。どんな本?」

「『童子切安綱と源頼光』って本です。日本刀が表紙絵になってるんですが」

「…ああ! 広場で見かけたね、そう言えば。あの後、誰かが持って行ったけど」

「その誰かっていうのは…?」

「さあ。誰だったか…。あ、その時、関摂政が面白そうに読んでたから、彼が持って行ったんじゃない?」

「摂政ですね! 分かりました!」

「見つかるといいねぇ」

「ありがとうございます。…って、それはそれとして、このでっかいケーキは一体…?」

「あれ、知らないの?」

「はい?」

「お菓子コンテスト第14回」

「何ですかそれ?」

「知らないなら、詳しい事は関摂政に聞きなさいな。ま、コレは、コンテストに応募しようと思ってた大作なんだけど…」

「確かにあらゆる意味で大作ですね…」

「大作すぎて、ここから出せなくなってねぇ。会場まで持っていけないのよね」

山吹が、けらけらと見えないところで笑っている。

「いやーもー参ったね。ま、それはいいとして、あんたはあんたの物を探してきなさいな」

「あ、はい!いざ我が手に栄光を!」

朝倉が、厨房から去っていくのを、見えないけれど見送る山吹。

「今日は佐倉はニヤニヤしてるわ、若人は走り回ってるわ、藩国中でお菓子作ってるわで、珍しい日ねぇ」

そう呟いて、さてこれは食べきれないのは確実だから、どうしよっかなーなどと呑気に思う山吹であった。

 

/*/

 

※連続短編集第三弾。予定では、あと二、三回で終了します。多分。

※今日の出演は山吹さんと遊ちゃん!やっぱ遊ちゃんは可愛いし動かしやすげふんげふん。

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