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第二話「本探しの始まり」

 

それは、何もかもの間違いの話である。

人の間違いの歴史、繰り返すこと幾星霜。思えば遠くまできたものだ。

ただ、この間違いの物語は、その歴史の中でも、滑稽無稽な部類に入ることは間違いない。いやはや、間違いというものは恐ろしいものである。

 

これは、奇怪で滑稽無稽な、一つの物語。



/*/

 

「我が手に栄光を!」

そう大きく声を張り上げ、ドアを蹴り開けるのは、我らが朝倉景光である。

目は血走り、動悸は激しく、内なる炎は黄金色ではなくてどす黒い色と化していた。

これを町で見かけたなら、8割の人が逃げ出すだろう。

体は熱く、頭は冷めて、魂は燃やせ、と、教えたのは誰だったか。最早、どれもどす黒い炎に包まれている朝倉にとっては、関係の無いお話になりつつある。

そんな朝倉が、ドアを蹴り開け、廊下に出ると、目を丸くした女性が立っていた。

女性は、突然の事態に硬直している。

「ど、どうしたの朝倉…」

この藩国の裏番長こと、佐倉透だ。

「何か隠してませんか」

「え!?」

唐突の質問。

しかし、佐倉の目は、泳いだ。

「い、いや、そんな事はないけど…」

「怪しいですね」

「怪しくない!それ以上疑うと蹴るよ!」

この佐倉の後ろ回し蹴りは、見た目が派手な上に、地味に痛いと評判である。

腰のひねりから繰り出される強烈な一撃は、一説には人を軽々数メートル吹き飛ばすらしい。

しかし、今日の朝倉は、そこで引き下がるような軟弱男子ではなかった。(ちなみに、いつもは速攻でびびる軟弱男子である。)

「そうはいきません!僕の本が無いんです!」

詰め寄る朝倉。

「…本?」

「本です。『童子切安綱と源頼光』という、少し古い本なんですが」

「知らないね。あ、そう言えば、さっきみんなが広場に集まってたから、聞いてみれば?」

「では、佐倉透という女性は、知らないと」

「知らない知らない」

「分かりました。では、いざ広場へ!!」

朝倉が、台風のごとく過ぎ去っていくのを見ながら、佐倉はため息をついた。

「ふぅ…危ない危ない…ふふふ、我が手に栄光を!」

 

―広場―

「あれ、九鬼さんだけですか?」

広場についた朝倉は、きょとんとしていた。

城内には広場があって、緑が植えられており、憩いの場所として利用されている。

その広場は、現在がらんとしていて、“みんなが集まっている”とは到底思えなかった。

「んむ。俺だけだな」

何やら、一生懸命にお菓子の本を読んでいる九鬼が、本から顔を上げずに、こくこくと頷く。

「さっきまでは、皆ここにいたんだが。今しがた、丁度おしゃべりが終わったところでね。皆、自室やらに戻って行ったよ」

「遅かったか…」

「どうかしたのか?」

「いえ、僕の本が消えてるので、探してるんですけど…。ここに皆さんがいたら聞き込みをしようかと思ってたんです。って、九鬼さん、そんな本読むんですか」

朝倉は、九鬼が読んでいる、『今からでも遅くない!お菓子入門』という本に、目を向ける。

「これか? ああ、まぁ、俺もお菓子を作ってみようかと思ってな。勉強中だ」

「へぇ…珍しいですね」

「まぁ、それはそれとして、そっちはどんな本?」

「『童子切安綱と源頼光』って本です。知りませんか?」

九鬼は、しばらく考えたあと、読んでいたお菓子を閉じて、ぽんと手を打った。顔を上げる。

「ああ。もしかして、表紙が日本刀の絵の?」

「そ、それですそれです! それはどこに!?」

「さっき、その辺に置いてあったのを見たんだが…無いか?」

朝倉は、周りを見た。

いや、見たと表現するより、血走った目でアリさえ見逃さない勢いで、探したと表現した方がいいかもしれない。

「……ん、無いか?」

しかし、無かった。

探して探して、しかしそれでも、どこにも見つからなかった。

「無いです…」

「俺はさっき見ただけだからなぁ」

「こ、ここにいた他の人っていうのは!?」

「んむ…かなりいたからな。珍しく山吹さんとかもいた」

「山吹さんですね!?」

「ん、んむ…」

こくこく、と頷く九鬼。

「分かりました!それではっ」

朝倉が台風のごとく過ぎ去っていくのを見て、九鬼はまた、お菓子の本を開いた。

「むぅ…俺はお菓子作りとかは苦手なんだが…どうするかな…。我が手に栄光を…」

 

/*/

 

※連続短編集第二弾。ぶっちゃけ、30分前まで存在を忘れてたとは言えない僕。毎日更新頑張るよ!

※勝手に出演させるのが僕。九鬼さん、透さん、勝手に出演させちゃってます!今度会ったら許可取るから安心してください!(ぉ

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