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第四話「それを追い求めて」

 

それを目指すのは、何故なのか。

道に迷い、山を越え谷を越えるのが人生といえども、そんな苦労をして何故目指すのかは、本人以外は本当の意味では分からない。

今日も今日とて、それは繰り返されていく。

ある者は賞品を狙い、普段読まない本を読み。

ある者は幸福を得る為に、必死に追い求め。

ある者は来るべき機会を、ひっそりと待つ。

果たして、目指すものに辿り着く者は、どれほどいるのだろうか。

 

これは、奇怪で滑稽無稽な、一つの物語。



/*/

 

「いえ、私は、その本が今どこにあるかは知りません。広場で読んだのは読みましたが」

摂政の自室。

相変わらず目を血走らせ、息は荒く、黒っぽいオーラに包まれた朝倉は、その一言でノックアウトされた。

「し、知らないんですか…また…」

ぱたりと倒れる。

もう、そろそろ泣きたくなってきた。

「また…?」

「かなり色んな人に聞いたんですけどね…」

「ほむ。まぁそうは言われても…」

苦笑するこの摂政、名を関朝戸という。

参謀で働いており、現在、え~藩国でマトモに戦闘ルールの把握と評価値計算が出来る、唯一の男と言って良いかもしれない。よく佐倉が後ろについて色々やらされるので、「傀儡摂政」などと名乗っていたりするのだが、この本人自体の能力はかなり高い。

「うーん…とは言え、もう可能性のある人は絞られていると思いますが…」

「え?」

「だって、広場にいた人は、かなり聞き込みしたんですよね?」

「…ああ、そうか! これまでに会った人は、佐倉さん、九鬼さん、榊さん、山吹さんです。残ってる人、分かります?」

「じゃ、あとは主上と天見さんだけですねー。それで広場にいた人は全員です」

「おお! 解決に一気に近づいた!」

「天見さんは分かりませんが、主上は執務室にいますよ」

「ありがとうございます!」

少し挫折しそうになっていた精神に、また、めらめらと炎が滾る。

そして、精神力が回復したついでに、思い出した。

「あ。そうだ。お菓子コンテストって何ですか?」

そう。多くの人が燃えている、お菓子コンテストである。

会う人会う人、この事をほのめかすので、割と気になっていたのだった。

「お菓子コンテストですか?」

「ええ、普段そういうイベントは見てるだけそうな九鬼さんまで乗り気でしたし、気になりまして」

「九鬼さんもやる気なんですか…。えーっと、ちょっと待って下さいね」

そう言うと、関は机の中を漁り、一枚の紙を取り出してきた。

「これです、これ」

 

<え~藩国お菓子コンテスト第14回開催のお知らせ>

将来が有望視されるお菓子職人が集う、お菓子コンテスト。

毎回多くの凄腕職人が集まり、アイディアと技術を競います!

【応募要綱】

作品は何を作っても自由とする。

作品自体は、代表者一人が作る。レシピは協力して作っても良い。

【場所】

え~藩国、城内。

【優勝賞品】

今回は藩王のはからいで、優勝者には好きな褒美が与えられます。お疲れのあなたには、休暇一ヶ月とかもありですよ!

 

※詳しい事は、え~藩国イベント管理事務局までお気軽に。

 

「皆さんがやる気を出している理由は、最後の【優勝賞品】ってところですね」

「うわー、僕も一ヶ月の休暇とか欲しいなぁ!」

「ははは。ま、でも、皆さんプロが出てきますからね。実際はそう勝てないのが現実なんですが、それはそれ、このイベントを盛り上げようと、主上が今年から商品つけたんですよ」

「なるほどー。って、のんびりしてる場合じゃない。それではありがとうございました! 我が本を探しに行ってきます!」

「はい、行ってらっしゃい」

ばたんをドアを開けて、勢い良く出て行く朝倉の後ろ姿を見つつ、関は業務に戻った。

「休暇か…私が欲しいくらいですよ…。佐倉さんは、今日有休とってたし、私もとろうかなぁ。旅行とかもいいな…。いつか我が手に栄光を…」

 

―執務室―

朝倉が執務室の扉を開けた時、主上こと藩王の花井柾之は、明らかに椅子にもたれかかって日向ぼっこをしていた。いかにも眠そうである。

「すいませーん…」

一応、声をかけてみる。

「げ、朝倉か」

「はい。……暇そうですねぇ」

「いや、暇じゃない。今のはれっきとした業務だ。俺は働いている。働いているという事にさせてくれ。藩王の威厳の保持のために」

……酷い威厳の保持のやりかただなぁ、などと突っ込んではならない。得てして人間とはそういうものである。いや、筆者も藩国の人間として、藩王の威厳は保持しなければならないとか、そういう大人の事情は全く一切何も無い。何も無いのだから、何も無いという事にさせて欲しい。

「藩王の威厳は分かりましたから、えーと、僕の本を持っていたら返してもらえないかなぁと」

「本?」

「『童子切安綱と源頼光』っていう本なんですけど。知りませんか?」

「ん、それ、広場で見た見た。今どこにあるかは知らないけど」

「そうですか…。そうすると、残りは天見さんだけか…」

「あ。天見なら、さっき呼び出したばかりだから、その辺にいると思うぞ」

「マジすか! で、ではっ!」

我が手に栄光を!とか叫びつつ、飛び出していく朝倉。

そして、花井は、またぼーっと日向ぼっこを始めた。

「我が手に栄光を、か。こうして日向ぼっこしてるの幸せ~…」

珍しく、癒し系キャラ?になっている、ほにゃにゃん藩王であった。

 

/*/

 

※連続短編集第四弾。多分、次回で終了すると思います。

※三話までを読み返すと、強烈に面白くなくてびっくりしました。

※今日の出演は関さんと主上という、藩国代表コンビ。いつもご苦労さまですー!

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